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【名もなき小さなケーキ店】純真な想いに寄り添って

 

 

居酒屋キッチンに立ち、ケーキと向き合う一人の男性がいる。

 

 

 

 

9月12日にオープンを控える

「名もなき小さなケーキ店」のパティシエだ。

 

場所は、薩摩川内市西向田町『洋風酒場 NEW STYLE KITCHEN ToRoRi』の店舗内。

 

なぜ、居酒屋の中にケーキ店?

それは、ここで始める深い理由があった。

 

 

 

 

“つっちー”の愛称で親しまれるそのパティシエ。

名前は、土川真弥仁さん

 

薩摩川内市出身。

高校は電気科を卒業。介護科のある専門学校へ。

 

なぜ、電気科から介護科へ?

 

そのきっかけは、おじい様のご逝去。

当時の土川さんは自分にできることを探し、前に進んだ。

 

専門学校で介護職について学び、その後、介護の道へ…

ではなかった。

 

実は、介護実習に参加した際に利用者の方から言われた一言が心に深く残ったのだ。

 

『夢に向かって頑張ってね。』

 

自分の夢って何だろう?

土川さんは夢について考えるようになった。

 

 

そして選んだのが「パティシエ」の道。

 

 

 

 

選んだ理由は?

 

その頃放送していたあるドラマ。

手先の器用な職人技に心打たれ、決意。

 

 

“パティシエになる。”

 

 

専門学校を卒業後、通信制のパティシエ専門学校に入学。

そして1年間学んだ後、鹿児島市内にあるケーキ店に就職。

 

 

最初の仕事は主に計量と皿洗い。

それから4年半、コツコツと積み重ね頼られる存在に。

そして、先輩からケーキの作り方を教わった。

 

 

そしてさらに4年半、あるホテルで働き、ウエディングケーキも手掛けてきた。

 

 

 

 

介護実習先で言われた一言を胸に。

地道に歩いてきた。

 

 

他に学びたいことにも出会った。

 

ケーキ店やホテルだけでなく、ほかの場所で違った角度から学びたい。

カフェでも1年ほど働いた。

 

 

そして独立。

2018年に鹿児島市内にケーキ店をオープンさせた。

 

お店を経営すること。

人を雇い、教え、頼り、頼られ、作る。

 

しかし、誰もが想像できなかった時代に飲み込まれてしまった。

 

「挫折」を経験し、そのケーキ店は名前を失った。

一度、ケーキから離れた。

 

 

でも、土川さんは前向きだった。

自分の中に新しい何かを取り入れようと、様々な仕事を掛け持ちした。

 

ファミレス、パン屋、農業、居酒屋。

 

 

その中の居酒屋が『洋風酒場 NEW STYLE KITCHEN ToRoRi』だ。

 

そこには頼りがいのある幼馴染がいた。

ToRoRiオーナーの関口聡浩さんだ。

 

 

 

 

2人は幼稚園からの付き合い。

正直言って、でこぼこな2人に見える。

 

ToRoRiは今年で開店して4年目。

関口さんは居酒屋料理や経営等に詳しく、コロナ禍でも前向きに「楽しみの場の提供」を目指しお店作りを続けてきた。

 

逆に土川さんはケーキ以外の料理や宣伝の仕方等、得意ではなかった。

 

一見、でこぼこに見える2人だがこの場所にいればいるほど感じる。

 

それぞれが得意なこと、不得意なことをカバーし合う最強の2人なのだ。

周りにはさらに2人を支える心強い仲間がいる。

 

 

 

 

関口さんの一言、『せっかくの技術があるのにもったいない』から、わずか1カ月たらずでお店をオープンすることになった。

 

協力的で情熱的な仲間に囲まれ、ToRoRiのキッチンに立った。

使い勝手の異なる慣れない環境で試作を重ねた。

 

 

 

 

そんな「夢」を追いかけ地道に歩んできた「パティシエ」の道。

土川さんにとって「ケーキ作り」とは?

 

たった一言で返ってきた。

 

“ケーキを食べて笑顔になってほしい”

 

まっすぐで純真な想い。

土川さんだからこそ表現できる、思いやりが詰まったケーキ。

今から一つ一つ紹介したい。

 

 

 

 

❚ カヌレ

 

外はカリっと、中はしっとり。

絶妙な感覚で、繰り返し焼き続け導き出した自信作。

 

 

 

❚ バスクチーズケーキ

 

表面を短時間で焦がすことで、チーズの美味しさをより引き立たせる。

全体的に味を締めるための工夫。

 

 

 

❚ カスタードモンブラン

 

こちらは土川さんの友人が提案したケーキ。

自家製のカスタードクリームに、バニラビーンズで香りも豊かに。

 

 

 

❚ ティラミス

 

生地にコーヒーシロップをたっぷり染み込ませ、甘さ控えめのクリームを三層重ねたティラミス。

しっとりした生地とクリーム、表面のチョコのサクサクがさらにクセになる。

 

 

 

❚ ムラングシャンティ

 

一般的なムラングシャンティを土川さん流にアレンジ。

メレンゲをカリッと香ばしく焼き、生クリームとフランボワーズソースで上品に仕上げたケーキ。

 

 

 

❚ ガトーショコラ

 

土川さんがこだわったのは、甘さの加減。

ダークチョコとミルクチョコをブレンドし、程よい甘さに。

 

 

 

❚ パリブレスト

 

掛け持ち時代にお世話になった農家さんの紅はるかを使用。

皮ごといただける芋の本来の美味しさを引きだし、カスタードとキャラメルの生クリームで挟んだケーキ。

 

 

 

❚ ピスターシュショコラ

 

二層のピスタチオムースとチョコレートクリーム。

支える生地はココアスポンジ。そして全体をチョコのコーティングで美味しさを封印。

 

 

 

❚ プリン

 

ミルクと”秘密”をブレンド。

甘さ控えめの生クリームと香りの良いバニラビーンズで最高のご褒美プリン。

 

 

 

❚ シュークリーム

 

クッキー生地を乗せて焼き上げたサクサクのクッキーシュー。

カスタードと生クリームを合わせた特製クリームをたっぷりサンド。

 

 

 

 

 

 

 

以上のケーキを中心に、『名もなき小さなケーキ店』をオープンさせる。

 

 

一度は名前を失ったケーキ店。

名前をとり戻すストーリーが始まっている。

 

ただ美味しいだけじゃない。

話題になるだけじゃない。

同志を持った友人と一緒に。

 

悲しみも成功も挫折も人の温かさも。

 

 

謙虚に、そして思いやりの心でケーキ作りと向き合う土川さんの姿に、きっと胸が熱くなる。

 

 

9月12日(日)はぜひ、『洋風酒場 NEW STYLE KITCHEN ToRoRi』の店舗内、『名もなき小さなケーキ店』に足を運んでみては。

 

 

 

※しばらくはテイクアウトのみ。今後はイートインやディナータイムでの提供も検討中。

 

それでは。

 

▼2022年10月31日更新

【OPENから1年】名もなき小さなケーキ店「ケーキでひとつで笑顔に、そして薩摩川内市を盛り上げたい」 – FMさつませんだい 87.1MHz (fm871.com)

 

(2021年9月5日取材:早水奈緒)

 

 

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