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1200年の歴史の危機、藤川天神の臥龍梅

梅の名所、藤川天神。
境内には約300本の木が植えられています。
中でも、幹や枝の形が地をはう竜のように見える「臥龍梅」と呼ばれる梅は、国の天然記念物に指定されています。

そんな藤川天神の梅の木に、かつてない危機が訪れていることを
みなさんはご存知でしょうか?
昨年の4月ごろから9月ごろにかけ鹿が梅の新芽を食べてしまうという「食害」の被害が広がっているのです。

宮司の川添さんにお話しを伺いました。

被害について、
昨年以前からも多少の被害はあったそうです。
しかし、昨年の被害は甚大なもので、8割近くの梅の木が被害にあいました。
以前から鹿は生息していたものの、集落の過疎化・高齢化による狩猟人口の減少などにより鹿が増え被害が拡大していったと考えられるという事でした。
実際の頭数も予測がつかず、どういう状況になっているのかと川添さんも不安を募らせている様子でした。

写真中央は鹿の足跡。
(すべての足跡から体長1メートル強はあると推測されます)

鹿自身の背の届く範囲はもちろん、鹿は直立して前足で少し高いところの枝も押さえつけ枝を折り新芽を食べてしまいます。

鹿に押さえつけられ折れてしまった枝。
直径5~6センチほどの太い枝もいとも簡単に折れ……。


2年ほど前に植樹した木も花芽が付かず枯れ始めてきています。

川添さんは大きな音を鳴らしてみたり、明かりをつけてみたり、害獣駆除用のオオカミの尿など撒いてみたり様々な対策を講じて来ました。
しかし、有効な手立てを見つけられていません。
現在市役所に相談をしているところだと言います。

今年は高いところの梅の花芽が何とか残り、梅の花は楽しめる見込みです。
しかし、このまま何も手を打てないままでいれば、2・3年ですべての梅の木が枯れてしまうとも言われています。

川添さんは
「1200年の歴史をここで絶やすわけにはいかない、しかし個人でやれることには限界があり、みなさんのお知恵を拝借したい」
と切望されていました。
我々も、古くからある薩摩川内市の「いつもの」風景を絶やさぬよう、次の一手を考えていかなくてなりません。