皆さんは、五代町に「五代地蔵」というお地蔵様がいらっしゃるのをご存知ですか?
五代郵便局を220メートル程川内港側に進んだ右手側に見えて来る純浦建設㈱さんの交差点を右折して、しばらく道なりに進んだ所に標柱が建っており、表示の通りに進んでいくと辿り着く事が出来ます。羽田墓地内にあります。
墓地は木々に囲まれておりとても静か。今日は天気も良く風が吹くとそよそよと葉が揺れる音がします。
これが、五代地蔵様です。訪れるたびに綺麗なお花が供えてあり、地元の方がいつも綺麗にされているのだというのが伺えます。写真では表情が分かりづらいですが、私にはとても穏やかな表情をされているように見えました。
このお地蔵様について詳しく紹介されている看板も設置されています。
五代地蔵(僧侶の墓碑 江戸期)
昔々、川内の港に船から1人のお坊さんが降り立ちました。お坊さんはここりよりはるか東南の方向の、冠岳の麓にある百次で生まれ育ち、若くして仏門に入り、奥義を究めようと京に上り、長い年月をかけて修業を積み、地位も得ていたのですが、健康を損ねて故郷へ帰る途中、お坊さんは五代の村はずれで倒れてしまいました。
通りがかりの村人にここまできた訳を話し「どうか故郷を拝めるような所に埋めてください」と言って亡くなりました。
村人たちは心半ばで病に倒れたお坊さんを故郷が見えなくとも見晴らしが良ければと高台にある羽田墓地に葬り僧侶姿を刻んだ墓碑を建てたそうです。
数百年が建ち、いつの頃からか病を治してくださるお地蔵さまとして祈願に訪れる人も多いようです。
原話「川内地方を中心とせる郷土史と伝説」
病気を治してくださると伝わるお地蔵様ですが、胸にかけられている前掛けには「○○君 希望の大学に合格お願いします ○○ちゃん 希望の高校へ合格お願いします 川内市バーチャン」と書かれていました。優秀な方だったでしょうから、きっと叶えて下さる事でしょうね。
これが、五代地蔵様がいつも眺めている景色。故郷・百次は確かに望むことは出来ませんが、この美しい景色に癒されながら安らかに眠っていらっしゃる事でしょう。柳山ウィンドファームの風車が風受けて優雅に回っているのも見ることが出来ます。
昔の五代の人々の優しさと、きっと人望の厚い素晴らしい方であったと思われる僧侶の心温まる歴史のあるお話でした。