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音を灯せば‘‘ここ‘‘が居場所になる【さつま町 Candle Music Night】~なっちゃんパタパタ探訪記~

挑戦への繋がり

2024年4月初旬。
雨が降り続け春がすぐ側に来ている気配の中でひとつのイベントが行われました。

‘‘築100年の電気が通っていない古民家での音楽ライブ‘‘

企画されたのはさつま町で音楽スタジオを運営されているS-witch music studioさん

この記事を書いている、わたくしイソノも歌とキーボードの練習でお世話になっており
今回こちらのライブへの挑戦にお声がけいただいたんです!

10代から20代半ばまでバンドをしていましたが、
人前で弾き語るのは7.8年ぶり!今回まさに挑戦でした。

生活の‘‘跡‘‘を残した古民家

当日は土砂降りの雨がお出迎えしてくれました。

「長靴履いてライブ会場に行くなんて初めて…!?」と高揚しながら
さつま町のとある山の中に入っていきます。


ひんやりとした石造りの床になった玄関。
どっしりとした木の柱や梁が昔ながらの懐かしさを感じさせてくれます。


ライブ会場となる部屋へ上がると、何やら見たことない置物たちが…。

この古民家の持ち主であるmm夫妻にお話しを伺ったところ
こちらは雑穀もみに使用されていた道具や糸つむぎ器であるとのこと。

昔使われていた道具たちをそのままインテリアとして残されていたんです。
100年ここで過ごしてきたこの家と人との‘‘跡‘‘に、なんだか心がじんとしました。


「2023年5月にこの古民家を勢いで購入した」と笑顔で話されたm.m夫妻。

「誰かの居場所になるような、何かをしたい…」
m.m夫妻となぎささんとのふとした会話から‘‘電気が通っていないことを活かしたい‘‘
その流れで、薩摩川内市のキャンドル作家のVIVI laboratorioさんへ話が繋がりました。

そこで起ち上ったのが「Candle Music Night」。
2023年夏から開催され今回が3度目となります。


数えきれない程のキャンドルを会場で設置されていたVIVI laboratorioさん。
キャンドルのどんなところに心惹かれるか伺ったところ
「真ん中にある芯が燃える姿」と教えてくださいました。

それを聞いて「なんだか、感情が熱く燃える人間の心に似てるな」
なんてことを、キャンドルを眺めながらぼーっと考える私。

そうしていると段々外も暗くなりはじめ、ライブが始まっていきます。

この土地を愛するアーティストたち


気付けば会場にはたくさんの人が入っています。

期待が渦巻く中、透き通った声を会場に響かせたのは亜づミさん。
さつま町が地元ということで‘‘川内川‘‘を舞台とした曲も歌われました
この場所この町が好き、という気持ちフレッシュで瑞々しい気持ちが伝わります。


緊張の面持ちでOriginal Love の「接吻」という渋い曲を歌い出したのはちからくん。
熊本で大学に通っている彼はこのライブのために地元さつま町へ帰省。
会場にはお母さんも来られていて、地元開催ならではの温かさを感じます。


ライブ中、会場内にはカレーの良い匂いが…。
お腹ぺこぺこで3番手であった自分の出番を終えた後は私もしっかり食べました。

ヨーグルトや甘酒、複数の麹が入っているおかげかまろやかで奥行きがある味わい!
緊張や不安でいっぱいのライブをやりきった身体に染みわたります。

わたしたちの居場所


最後は指宿で古民家の音楽スタジオを運営されているZaiさん。
過去にさつま町で生活していこともあり、その時に苦労した思い入れがあるとのこと。
‘‘生きる‘‘という当たり前の事に向き合わせてくれる熱い歌を聞かせてもらいました。

途中でなぎささんとのトークセッションもありこんな事を話されます。
「音楽をしたい、生で聴きたい人たちを繋ぐ場所を作りたい」
「親戚が集まったような、ホッとできる居場所を作りたい」


年代や職業を越えて、
それぞれが自分のお気に入りや好きなことを持ち寄り一緒にひとときを楽しむ。

‘‘みんなが思い思いに表現して楽しめる場所=m.m秘密基地‘‘

ここがあったから挑戦できた


ライブに遊びにいらっしゃっていた
さつま町地域おこし協力隊の青嵜直樹さんよりカメラで撮られた写真をいただきました。
スマホでは捉えきれない雰囲気があります。

メラメラと燃えるキャンドルの灯は会場にいた私たちの心に連動しているようでした。
ちょっと非日常だけどなぜか懐かしい。刺激と癒しが共存する不思議な空間。


私がここで挑戦できた証もこうやって残してくださってとても嬉しいです。

「もういい年齢だから…」「ブランクがあるし上手くないから…」
そんな理由でくすぶっていた気持ちを解放できたのはこの居場所があったからです。
自分が歌いたい事伝えたい事をありのままに表現できました。


アーティストを見守るなぎささんの笑顔がとっても素敵!

これからも続けていきたいと話されたこの「Candle Music Night」。
音を鳴らせば声を出せば灯る光の中で、また私も思いっきり笑って歌いたいです。


◇S-witch music studio

◇m.m えむえむ

∟会場となったmm秘密基地はイベント時のみの案内となっています

◇VIVI laboratorio

 

[最後3枚の写真提供:さつま町地域おこし協力隊 青嵜直樹さん]

[取材/文/写真:イソノ コウヤ(なっちゃん)]