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【糸と波】暮らしに寄り添う雑貨「マクラメ編み」

 

静かな住宅街。

 

まるで絵本の中から飛び出してきたような外観。

周りを囲む緑。

 

木陰をくぐり、数段上ると見える小さな灯り。

 

 

店主の編むマクラメ編みのギャラリーを併設したお店。

『糸と波』

 

 

―「マクラメ編み」とは

 

アラビア語で「交差して結ぶ」という意味。

手で紐を編んだり、結んだりして模様を生み出す編み方のこと。

 

このお店では、店主の手編み「マクラメ」が展示・販売されています。

 

 

店主は、室屋 里香さん。(通称チロさん。)

鹿児島県阿久根市出身。

 

趣味は「ビーチコーミング」

 

幼い頃から海辺に漂着した流木やシーガラス、貝殻等を拾い楽しんでいたそう。

 

※「ビーチコーミング」・・・イギリス発祥の砂浜をクシですくうようにモノを探す遊びのこと。

 

 

―「ビーチコーミング」の魅力とは

 

『今日は何が見つかるかなと心躍るところですね。防風林を抜け波音が聞こえだし、海が見えてくると、毎回扉が開くような感覚を覚えます。また、拾ったもの達がこの海辺に辿り着くまでのストーリーに想いを馳せるのも楽しみの一つです。』

 

 

 

知らない世界に踏み込むようなワクワク。

”扉が開くような感覚”

 

拾うのは心から惹かれたものだけ。

 

 

辿り着いた経緯は誰も知らない。

手にした人だけがそのストーリーに触れることができる。

 

それが、チロさんにとっての「ビーチコーミング」の魅力。

 

 

幼少期からチロさんの日常に溶け込んでいた流木。

その流木と「紐」を編んで作られる素敵なアート、「マクラメ編み」

 

 

―出会ったきっかけとは

 

『雑誌に載っていた、風化したマクラメのタペストリーに強く惹かれたことでした。綺麗でない、言ったらボロボロのタペストリー。凄くカッコイイなって思ったんです。と、同時に、私これいつかやるなと思いましたね。』

 

出会いの瞬間は、まるで運命の出会いのように。

 

 

しかし、すぐに始めたわけではなく当時はアクセサリー制作に集中。

 

『アクセサリー制作は20年ほど続けていて、現在も90cmネックレスを作るワークショップを開催しています。こだわりはマンテルという見せる金具を使い、正面を定めないネックレス作りです。』

 


≪チロさんよりお写真を拝借≫


 

付け外しがスムーズな見せる金具「マンテル」

ネックレスのどの部分に位置しても違和感がなく、素肌に触れないよう身に着けることも可能。

 

そしてある時、アクセサリー制作を続けながら「マクラメ編み」を始めることを決心。

 

 

身近に流木がある暮らしだったので、マクラメ編みを始めたのも凄く自然な流れでした。編み方は、雑貨店で購入したプラントハンガーを解体しながら習得しました。左利きなので自分で覚えた方が早いかなと(笑)

 

プラントハンガーを自ら解体し、習得。

その姿勢から感じる「マクラメ編み」に対する熱意。

 

 

―マクラメ編みの魅力とは

 

『暑いときは涼しさを、寒いときは温かさを感じさせてくれるところですね。光の当たり加減によっても全く見え方が違って、特にマクラメ編みが映す影はより魅力を感じます。』

 

 

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(チロさんInstagramより)

 

陰と陽。

 

温かい光を優しく包み込み、影も味方に魅了。

「マクラメ編み」に心癒されるギャラリー。

 

―空間のこだわりとは

 

 

『ここに座ったときの見え方に一番こだわっています。ギャラリーも兼ねているので、ナチュラルテイストで調和した空間になるように。さし色を加えて、毎日新鮮な気持ちで空間を楽しめるようにしています。』

 

ふらっと訪れても安心できる居心地の良い空間。

自然と心も開放的に。

 

そんな空間で行われる「マクラメプラントハンガー」のワークショップ。

 

 

静かに流れる音楽。

外から差し込む光も心地良く。

 

時より世間話に花を咲かせながら制作に集中。

 

 

「凄く夢中になれて楽しかったです。」

『時間をかけた分だけ達成感があって、癒しの時間でした。』

 

 

完成した作品を手に、笑顔溢れるお2人。

インテリアの主役・脇役のどちらになっても、存在感を放つプラントハンガー。

 

チロさん曰く、秋冬はランプを入れて飾るのがおすすめだそう。

 

 

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そして、魅力的なアイテムは他にも。

 

―異国を感じる個性派雑貨

 

 

『20代の頃から、日本の伝統的な染め物やファブリック、当時はまだ扱うお店が少なかった輸入雑貨が大好きでした。整っているものよりも、どこかぼそぼそとしていたり、風化して味わいが加わったものを好んで飾っていたように覚えています。』

 

 

『最近目や耳にするボヘミアンスタイルも、私にとっては昔からライフワークとして根付いていたような気がします。』

 

 

本当に好きなものだけを一つ一つ丁寧に。

日々の暮らしにさりげなく取り入れたい雑貨。

 

作品だけでなく、作り手の背景やストーリーも繋ぐチロさん。

 

 

筆者が感じたのは、

躍動」「情熱」「自由」

躍動感のあるデザイン、作り手の情熱、人それぞれの自由な使い方。

 

 

 

静かに揺れ動く「マクラメ編み」とはまた異なる魅力。

使う場面を想像しながら、手に取ってゆっくり選べる色彩豊かな個性派アイテム。

 

 

もう十分かと思えば、更なる癒し時間が。

 

―「その日の喫茶」

 

(無花果スカッシュ)

 

『この無花果はうちで採れたものなんです。今年は70個収穫できました。軽く混ぜて飲んでみてくださいね。』

 

自家製の無花果を使ったオリジナルスカッシュ。

取材日は9月中旬。体中に染み渡る爽やかな無花果の味わい。

 

(※メニューはその日ごとによって異なります。)

(特等席からお楽しみの一杯。心も体もお腹も幸せ。)

 

最後の一口に無花果を。

癒しの空間を思う存分堪能。

 

マクラメ、個性派輸入雑貨、その日の喫茶…

 

一言では表現できない、癒し時間。心のリセット。

 

 

そして、チロさんからいただいた素敵なフライヤー。

裏面に書かれていたのは、

 


 

”糸と波でデキルコト”

レンタルスペース

 


 

一体どのようにこの空間を利用するのか。

後日、開催されたイベントに足を運んでみることに。

 

 

この日開催されていたのは、アフリカ布「チテンジ」でサコッシュを制作するワークショップ。

 

(講師は、マラウイに滞在歴があるいちき串木野市地域おこし協力隊・深水布由実さん。)

 

 

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(糸と波Instagramより)

 

 

 

 

異国の文化が交わり、人が集うことでより深まっていくこの場所の魅力。

「もう少しここにいたいな…」と余韻を残して。

 

 

 

 

まるで糸のように出会う人と人を繋げ、波のように流れる穏やかな時間。

 

『糸と波』

 

最後に、店主・チロさんが伝える店名に込めた想いとは。

 

 

 

 

 

 

―店主・チロさんの想い

 

『暮らしの中でそこかしこに使われている糸。寄せては返すを繰り返す波。波が連れてきた流木。そんな糸と流木を組み合わせて作るマクラメタペストリーや、他のマクラメアイテムの魅力をこれからもたくさんの人に伝えていきたいですね。』

 

 

『ワークと雑貨と小さな喫茶。お客様にはそれぞれの過ごし方でこの場所を楽しんでいただけたらなと思います。理想は、知らないお客様同士が気軽に声を掛け合い、語り合えるような空間を創ることです。ぜひ、お気軽にお越しください。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おわりに

 

最近流行りの言葉「丁寧な暮らし」

 

チロさんの手作りのマクラメを見て、本当に丁寧なものとは?

と、深く考えるように。

 

手作りは世界に一つ。

心から大切にしたいと思える、かけがえのないもの。

 

時間と共に廃れていくのではなく、魅力や渋さが増していく。

 

だから、そばに置いて、普段から身に着けて、「丁寧」を心掛けたい。

 

 

―皆さんにとっての丁寧な暮らしとは

 

ぜひ、『糸と波』で探されてみてくださいね。

それでは。

 

 

 

 

 

(2021年9月 取材・文/早水奈緒)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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