昨年からの新型コロナウイルス流行により、この一年はこれまでの生活様式をがらりと変更せざるを得ない年になったのではないでしょうか?
普段自分が知らず知らずのうちに保持している “ものの見方” を一変するのはなかなか労力を伴うもの。
「映像を作ることで、自分の見る景色を変えることが出来ます」と言ったら、皆さんは不思議に思われるでしょうか。
2021年2月8日、川内商工高等学校にて地方創生プロジェクト発表会が開催され、その中で商業科の生徒たちが制作した動画が公開されました。
映像制作を通して地域を知るこの授業は2017年度より続いており、今年度で4年目になります。
外部より講師を迎え、取材の方法から実際に映像を制作する技法までを学び、生徒たち自身で地元企業に取材申し込みを行い、実際に取材して編集、最終的に2分間の動画にまとめるというところまでを実践授業として行う取り組みです。
発表会冒頭、講師である合同会社アースボイスプロジェクト代表社員の榎田竜路氏は、自身もゆかりのある薩摩川内市の若い世代に向けて「映像をつくることを通してものの見方を変える訓練をして欲しい」と言葉をかけました。
私たちは普段、暮らしの中で身に付いた自分なりの解釈方法を使って、無意識的に様々なことを見て・聞いて・感じています。
何ごとも頭で考えた上で判断・行動している、と考えがちですが、実は頭で考える以前に身体全体の感覚を駆使して、知らず知らずのうちに直感的な判断が働いているのです。
「この身体の持つ直感的な力と、頭で思考する論理的な力を自分の中で上手くつないで滑らかにすると、心と身体のバランスがとれてどんな状況にも適応できるしなやかな生き方ができる。この適応力こそ、これからの世の中を生きていくのに必要な力である」と榎田氏は言います。
直感的な力を働かせて “写真・動画・音楽” を組み合わせた中に、論理的な力を働かせた “言葉” をはめ込んでひとつの映像作品に仕上げる。
映像制作をすることで、この直感的な力と論理的な力を上手く融合させる訓練が出来るのです。
授業に参加するほとんどの生徒が、映像制作はおろか取材も初めての状態です。
0から1を作りだす映像制作の過程で、生徒たちはそれぞれ、机に座って鉛筆を握る勉強とはまた違った感覚を鍛えられたようでした。
講座の感想を聞かれ、
「何度も作り直しや修正をして大変だったけれど、楽しかった」
と話す生徒たちの笑顔が印象的でした。
今回映像のテーマとなったのは “健康” “発酵” といったキーワードからたどり着いた「薩摩川内市の食」。
お茶やお米、豆腐やお菓子など、様々な農作物や加工品はどのようにして作られているのか、その作り手はどんな思いを込めて製品を世の中に送り出しているのか、それぞれが独自の視点で感じたことをポイントにして、2分間という短い時間にまとめた生徒たち七人独自の動画が出来上がりました。
発表会当日は、取材を受けた側である企業の担当者の方々も学校を訪れて生徒たちが作り上げた動画を鑑賞し、
「高校生の柔らかい視点でまとめていただいて自社製品の新しいイメージを持てた」
「普段自分では積極的に発信しないことまで伝えてもらえてうれしい」
と、生徒たちに直接感想を伝えていました。
これまで自分では気づいていなかったところに気付くこと、知らなかったことを新たに知ることも、ものの見方を変えるためには大切なことです。
今回の映像制作の授業を通して、 “生徒たち” と “薩摩川内市の企業” というこれまで知らなかった者同士の間に、新しいつながりが生まれました。
映像制作で磨いた “感性” と “理性” をつなげる力を活かすことで、未知なる領域に橋を架けるようにまた新しいつながりを生み出すことが出来るはずです。
今回体験した “ものの見方を変える力” を使って、どんな未来をつくっていくのか。
彼女たちの視点からの薩摩川内市の景色をまた見てみたいと思いました。
※授業にて制作した映像作品はYouTubeにアップされ、薩摩川内市のHPにも広報される予定です。
井戸端ミックス
中川文香
【井戸端ミックスとは?】
米良弘子・中川文香のユニット。
「町中のそこかしこで行われている “井戸端会議” をミックスしてみると楽しいことが起きるかも!?」のコンセプトのもと活動しています。
毎週土曜日12:00~「はぴらん!Weekend!」出演中。
不定期で「井戸端ミックス会議」も放送。
【井戸端ミックス会議とは?】
井戸端ミックス(米良弘子、中川文香)が不定期でお届けしているラジオ番組。
会議の場所はFMさつませんだいブースの中。
会議の参加者はラジオを聴いてくださるあなたです。